東京・浅草駒形にある「Nabeno-Ism(ナベノイズム)」。ミシュランガイド東京2024で6年連続の2つ星を獲得するなど、日本はもとより世界の食通を魅了し続けるフランス料理の名店だ。この店で唯一無二の世界観を表現する渡辺シェフは、約20年にわたり「キッチニスタラップ」を愛用している。その背景にある眼差しと、シェフが考える料理との親和性に迫った。
「食材を保存するために使うという側面もありますが、僕にとってキッチニスタラップは調理道具のひとつ。」渡辺シェフがそう断言するように、ナベノイズムではキッチニスタラップを実に多彩な調理シーンで使用している。食材の保存はもちろん、魚の切り身などをラップで巻き込み圧力を加えることで押し寿司のように成型する際にも、蒸し料理やぬめりのある食材を切る際にも活躍するのだという。これを実現するのが他にはない「しなやかな伸縮性」と「強度」だと渡辺シェフは語る。他社製品だと食材を巻き込む際に切れてしまったり、手の感覚が伝わりにくいことが多いのだという。
この「手の感覚」が料理においては非常に重要だと渡辺シェフ。キッチニスタラップを初めて手に取った時から20年来の相棒だと信頼を寄せる理由がここにある。「肉を触ったり、鮮度を見たり、温度を確かめたり。僕らの手はセンサーのように働く。キッチニスタラップはまるで自分の手の一部になったように自在に形を変えてフィットし、馴染むんです。」この感覚は、渡辺シェフがフランスで愛用していた食品用ラップフィルムによく似ていたそうで、初めて触った瞬間にフランス時代の記憶を思い出したという。「どのくらい巻けばどれだけ食材に力を加えられるか、熱はどれだけ入るかを自在にコントロールできるからこそ、料理の仕上がりが見える」と、まさにその肌感覚を教えてくれた。
キッチニスタから「キッチニスタラップ 抗菌ブルー」が発売された際にも、使い勝手が変わらないことに驚いたという。「食の安全の観点で、異物混入を防ぐために抗菌ブルーを採用した。この際も使い心地が変わらなかった。」さらに、バイオマス原材料10%配合にリニューアルしても使用感にブレはなく、一流の手の感覚を持つ渡辺シェフの信頼を裏切ることはなかったという。バイオマス原材料を使用するとコストが高くなるのが一般的だが、キッチニスタラップ 抗菌ブルーはコストをそのままにリニューアル。「コスト」「機能性」「環境性能」「使い勝手」のベストなバランスを実現したと言える。渡辺シェフにこの意義を聞くと「これが世界の料理人に広まればサステナブルへの大きな流れを生み出せる。できることに一つひとつ向き合うのが重要だ」と語った。
渡辺シェフの言葉を借りると、サステナブルとは特別なことではなく、当たり前のことだという。その背景にあるのは、フランス料理に根付く「すべてを使い、料理する」というひとつの定義だ。「サステナブルは今に始まったことではない。ただ、時代に合わせて、もう一度考え直しながら取り組んでいくことが重要」という渡辺シェフの姿勢は、どこまでも自然体で芯が通っていた。そのスタイルは、今ある食材を自然体でフランス料理の形に落とし込む「渡辺シェフの哲学」からも感じられる。当たり前を考え直しながら、今のベストを追い求める渡辺シェフとキッチンの声に耳を傾けベストなバランスを追い求めるキッチニスタ。これからも互いに刺激し合いながら、共に歩んでいくことだろう。
山口県萩産のスズキを重ね、キッチニスタラップ 抗菌ブルーで巻き、圧力を加えることで押し寿司のように成型。使い勝手の良さが作業効率向上の一助に。
キッチニスタラップ 抗菌ブルーの青色は、調味料をどれだけかけたかが見やすいというメリットも。
世界的なレストランでエグゼクティブシェフを務めた渡辺シェフが、 2016年に東京・浅草駒形で開業したレストラン。数々のレストランガイドで星を獲得するなど名店として知られている。「ナベノ-イズム」は、渡辺シェフのニックネームである「なべシェフ」から取った「ナベノ」と、主義や流儀を表す「イズム」を組み合わせた造語。